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オリジナル創作小説に関するあれこれを書き連ねる
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「青井、クリスマスってどういう日なのか知ってるか?」
 
 終業式の日、メイがおもむろに切り出した。
 ――聞いたことはあるが、詳しいところは覚えていない。首を振ると、あのな、と説明を始める。
 
「サンタさんがいい子のところにプレゼントを渡しに来るんだぞっ」
「……む」
 
 どうして突然そんな話をするのか分からないが、その話によると、青井のところには来ないだろう。青井は、よい子ではない。
 
 メイの表情は心なしか幸せそうだ。父親が帰る、一緒に過ごすのだと、ルカが言っていた。
 
 よい子ではないから、サンタは来ない。学校は休みだし、メイも来ない。だから、青井のクリスマスは今年も一人――の、はずだったのだが。
 
 メイは今日、24日も当たり前に青井の家に来た。雪の降る中震えながら、おもむろに来たのである。そうして今はねこに小さな赤い帽子をかぶせてやろうとしていた。先端にポンポンがついたもこもこ帽子。さんたくろーすの帽子である。わざわざ作ってきたらしい。当然、かぶせてやってもすぐにずり落ちるので、メイは小さくうめいた。
 
(なぜだ……)
 
 なぜメイがうちに来ているのだろう。
 青井は考えたが、結局よく分からない。やっぱり父親は帰ってこなかったのか。それにしては浮かれているが。
 
「あ! 青井、あれ!」
 
 突然、メイは声を上げて窓の外を指差した。積もった雪に半ば埋もれるようにして、ちょこんと小さい赤い袋が置いてある。ご丁寧に、金色のリボンがついていた。
 
「へへっ。きっとサンタさんからだぞっ」
「……」
  
 ――青井は思い出す。
 さんたくろーす。あれの正体を考えると、青井のところにはぜったいもう来ない。
 
「よかったな! 青井いい子だからなっ!」
 
 ぜったい来ない。
 幸せそうに笑うメイの指先は、かじかんで赤くなっていた。……ちょっと土くれが残っている。
 
 それで本人は隠しているつもりらしいが、全然隠せていない。だいたい表情が不自然だった。あまりにへたくそな演技である。なぜわざわざ、こんな子供だましみたいなことしでかしたのか。
 
(……)
 
 青井は一つため息をついて、はやく取りに行こうとせかすメイの、手を取る。冷え切っていた。青井のほうがまだ暖かい。
 
「……メイも、いい子」
 
 メイは飛び出したうさぎのように目を丸くすると、一瞬後にかあっと耳まで赤くなった。うろうろ視線を泳がせる。
 
(そうだ)
 
 思い出した。クリスマスはおいしいごちそうを食べる日なのだ。
 
 だから、今度、メイにおいしい料理を作ろう。
 クリスマスじゃなくたっていい。年が明けてからでも。
 
(今年でも、来年でもいい……)
 
 いつだっていいのだ。
 そう思うと、胸の辺りがほんのり暖かくなって、よく分からないけれど、クリスマスっていいものだな、と青井はぼんやり思った。
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