オリジナル創作小説に関するあれこれを書き連ねる
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青汁1
http://jikuu.blog.shinobi.jp/Entry/109/
青汁2
http://jikuu.blog.shinobi.jp/Entry/125/
続きからにしまいます。
ていうか1から二ヶ月だと…
次回で最後予定です!
完結させてから言おうと思ったんですけど…
これは一応本編軸の話なので、ブルーとの関係というか、メイにとっての青井人っていうのは学園時空とはだいぶ異なります。ので、学園時空とは違ってただメイがどきどきしてる話にならないように…
…書こうとしたんですけど回りくどいだけでいつもどおりですね!! です…
http://jikuu.blog.shinobi.jp/Entry/109/
青汁2
http://jikuu.blog.shinobi.jp/Entry/125/
続きからにしまいます。
ていうか1から二ヶ月だと…
次回で最後予定です!
完結させてから言おうと思ったんですけど…
これは一応本編軸の話なので、ブルーとの関係というか、メイにとっての青井人っていうのは学園時空とはだいぶ異なります。ので、学園時空とは違ってただメイがどきどきしてる話にならないように…
…書こうとしたんですけど回りくどいだけでいつもどおりですね!! です…
「思いやりが足りない!」
曲がり角の向こうから突如聞こえてきた声に、メイはびくりと足を止める。そろそろと顔を突き出して覗き見ると、ブルーと、そしてブルーにくってかかる少女――ジルがいた。
「レディーに相対するときは顔をしかめるものじゃない! 愛想笑いの一つもできないのか?!」
「……」
何が起こっているのか分からなくて、メイはぽかんと口を開けた。ふと、ブルーがこちらに目を留める。
「メイ?」
呼びかけられ少し震える。まだちょっと怖い。けれど、固く決心したのだからと、口を開く。
「ブルー、あの、おれ」
「ま、まさか、貴様、この私の前でふたまたか!」
ジルが怒ったようにブルーの腕を引いた。ブルーがまた顔をしかめたのでジルはさらにいらだった顔をする。
(ふ、ふたまた)
メイはさっと顔をひっこめ、しばし呆然とする。
(もしかして、ジルさんは、ブルーのこと……。
いや、それだけだったらふたまたって言わないよな。
そ、それじゃ、もしかして……ブルーも)
受けた言葉の衝撃に、メイはしばらく頭が真っ白になる。
メイがまったく知らない間に。いつの間にそんなことに。流れが理解できない。
完全に想定の範囲外だった。
「メイ、違う、こっちに……」
気がついたときには、ブルーの声を振り払うように駆け出していた。
*
「そうか……」
一杯のジュースと引き換えにシルバーに半ば強制的に話を聞きだされ、いやいやながらも一通り話し終える。
「それでジルのまねしてたの? 大丈夫、心配ないよ。ジルはそんなんじゃないし」
シルバーが笑った。言われて少し気持ちは楽になったけれど、おかしそうに笑われてメイはむっとする。
――ちょっとパニックになってただけなんだから、無視してくれればよかったのに。
子供っぽい行動をしてしまって、もう既に恥ずかしさがこみ上げてきている。思い出させて欲しくない。
シルバーがじろじろ見てくる。メイは少しいらだってジュースをかきまぜる。溶けかけの氷がからんと鳴った。
(……べつにシルバーが思ってるようなことで気にしてなんかないぞ)
ああなったのは、最近、男言葉をやめるようによく言われるからだ。シルバーが笑うようなことじゃない。
こんなふうに、世間はこういうのを、ただのありがちなやきもち、と呼んで扱うだろう。
そんなんじゃないぞ、とメイは思う。
いわゆる嫉妬、などではない。
取られてさみしい、とかそういうんじゃない。
(ただ……)
なんとなくぽっかり空虚な気持ちなのは、それがあまりにも突然だったから。
気分が晴れないのは、ただ、驚いたからだ。
今まであまりにもその場所に慣れすぎていたことに……気づかなかったという事実に。
「俺……分かったんだ。ブルーの隣は、ずっと俺ってわけじゃないんだ」
『ふたりは、つきあってるんですかっ』
宿屋の少女は言った。否定すると安心したようにありがとうございますと笑った。歳はリュオンと同じか下くらいか。無邪気な笑顔だったが、思い出すたびに胸を刺した。
つまり、この年になると、「つきあってる」のでなければ、そばにはいられない。
メイは女の子らしくない、かわいらしくないから、「つきあう」はできない。
それどころか、メイは本当に男の子なわけじゃないから、友達としてそばにいることすらもいずれできなくなる。
だって、「ふたまた」になってしまうから。
彼女というのが重視されるようになったら。
きれいでもない、かといって男の子でもないメイは、彼女になれず、友達にもなれず、ただふたまた疑惑をかけられるだけの存在になり、邪魔に思われて捨てられるかもしれない。
ううん。それはもはや未来のことじゃなく……眼前に迫って来ているのかもしれない。
ブルーはもう、メイのことを邪魔に思い始めているかもしれない。
「メイちゃんは気づいてないかもしれないから心配だろうけどさ」
ぎゅっと唇を引き結んで痛む胸を押さえていると、それまで黙り込んでいたシルバーがゆっくりと口を開いた。
「ブルー君はメイちゃんのこと、すごく大切に思ってるよ」
「……な、なんで?」
メイは少し頬を赤らめる。慰めようとして嘘言ってるんだと思いつつ、ちょっと嬉しかった。
「だって、いつもそばにいるんだろう。最近は違うにしても」
「ん……」
「それなら、大丈夫だよ」
ふっと確信を込めてシルバーは言う。なんでそんなに自信を持って言えるんだよ、もしかしたらいやいや近くにいただけかもしれないじゃないかと言おうとして、言えなかった。嘘にしたくなかった。
メイはどうしていいか分からなくなって視線をうろうろと泳がせる。
「僕なんか話しかけようとするだけでなぜかにらまれるぞ」
「え、そんなことないぞ」
ブルーが何の理由があってシルバーをにらむというのだ。メイは困ったように眉を寄せる。
「にらんでるみたいに見えるかもしれないけど……勘違いされやすいけど、べつに嫌ってるとかじゃないぞっ。不器用なだけだよ」
シルバーに勘違いでブルーを嫌ってほしくないと思い、必死で言ったのだが、シルバーはなぜか苦笑した。
「……ぶきよう、ねえ」
「ほ、ほんとだぞ」
ため息をつかれメイは困惑する。何かおかしいことを言っただろうか。
「ジルにやめるように交渉してみようか。……まあ、僕の話はきかないだろうけど」
「え、だって、ジルさんはブルーのこと」
「だから、違うって。ほんと、ないって」
でも、とメイは言う。シルバーはそういうけど、そうとは限らないじゃないか。今は違っても、これから好きになるかもしれないし。うつむいていると、シルバーが下から覗き込んで意地の悪い笑みを浮かべた。
「じゃあさ、メイちゃんがブルー君を大切に思う気持ちは、ジルやあの子のよりも弱いんだ? だから、とられてもいいんだ?」
「……ち、ちがう」
怒ったようにメイは言った。
「俺のほうがあの子より、ブルーのこと大切に思ってるもん……お、俺のは、友達の好きだから、れんあいの好きにかなわないみたいに思われるかも知んないけど、それでも俺のほうが好きだもん」
最後は消え入りそうになりながらそれでもメイは言い終えた。恥ずかしさをごまかすために思わず氷をからからからから回したのだが、くすくす笑われて余計頬を染めた。
*
「いない……」
人ごみの中を走り回ったものの、目的の少女は見つからない。ブルーは嘆息し、乱れて顔にかかってきた髪を煩わしげにはねのける。
「ほら見ろ、邪魔だから髪を切れ、と言っているんだ!」
遅れてなんとか追い付いてきたジルが息を切らしぴしりと指差して言う。
「そして服をどうにかしろ! ダラダラダラダラみっともない」
背伸びをするとジルのほうが背が高い。上から見下ろされ、ブルーは眉間に皺を寄せる。
「顔をしかめるなっ」
言われてもますますブルーの皺は深くなっていくばかり。
一つ息をつきジルは一冊の分厚い本を取り出しブルーに突き付ける。
「まあいい、今日は遅いから髪と服は明日だ。とりあえずこれを読め」
ワインレッドの表紙に金色の刺繍で「正しい紳士の在り方」と書いてある。ブルーは目をそらした。視線に本がくっついてくる。
「……読めない」
ブルーは苦々しげに言う。ジルはしばし怪訝そうにし、それからああ、と手を叩く。
「もしかして字が読めないのか? よし、私が教えてやろう!」
「嫌だ」
「こら、逃げるな!」
止めるジルの声も聞かず、ブルーはするりとそこを去る。ジルは追いかけようとするが、あっという間にまかれ、見失ってしまう。
「く、足の速い……」
もとよりジルは走るということをあまりしない。むしろおもいっきり嫌っている。それに先程までにずいぶんと走らされた。
今日はもうこれくらいにしてやるか、と座って休憩をすることにする。
「手ごわいやつだ……いや、私はくじけない」
ひどく疲れたけれど、これもリュオンのためと思えば自然とやる気が湧いて出た。
「……しかし、リュオンはあいつのどこがいいんだ……?
顔はいいかもしれないが性格最悪だぞ? 『ほっとけないのよね~』タイプっつってもさすがにあれはひどいんじゃないか……。天然で常識はずれなところを抜きにしても、別に性格がいいわけでもない気がするし」
疑問を胸に抱きながら、ジルはしばらくの間そのまま明日以降の計画を練り始めた。
曲がり角の向こうから突如聞こえてきた声に、メイはびくりと足を止める。そろそろと顔を突き出して覗き見ると、ブルーと、そしてブルーにくってかかる少女――ジルがいた。
「レディーに相対するときは顔をしかめるものじゃない! 愛想笑いの一つもできないのか?!」
「……」
何が起こっているのか分からなくて、メイはぽかんと口を開けた。ふと、ブルーがこちらに目を留める。
「メイ?」
呼びかけられ少し震える。まだちょっと怖い。けれど、固く決心したのだからと、口を開く。
「ブルー、あの、おれ」
「ま、まさか、貴様、この私の前でふたまたか!」
ジルが怒ったようにブルーの腕を引いた。ブルーがまた顔をしかめたのでジルはさらにいらだった顔をする。
(ふ、ふたまた)
メイはさっと顔をひっこめ、しばし呆然とする。
(もしかして、ジルさんは、ブルーのこと……。
いや、それだけだったらふたまたって言わないよな。
そ、それじゃ、もしかして……ブルーも)
受けた言葉の衝撃に、メイはしばらく頭が真っ白になる。
メイがまったく知らない間に。いつの間にそんなことに。流れが理解できない。
完全に想定の範囲外だった。
「メイ、違う、こっちに……」
気がついたときには、ブルーの声を振り払うように駆け出していた。
*
「そうか……」
一杯のジュースと引き換えにシルバーに半ば強制的に話を聞きだされ、いやいやながらも一通り話し終える。
「それでジルのまねしてたの? 大丈夫、心配ないよ。ジルはそんなんじゃないし」
シルバーが笑った。言われて少し気持ちは楽になったけれど、おかしそうに笑われてメイはむっとする。
――ちょっとパニックになってただけなんだから、無視してくれればよかったのに。
子供っぽい行動をしてしまって、もう既に恥ずかしさがこみ上げてきている。思い出させて欲しくない。
シルバーがじろじろ見てくる。メイは少しいらだってジュースをかきまぜる。溶けかけの氷がからんと鳴った。
(……べつにシルバーが思ってるようなことで気にしてなんかないぞ)
ああなったのは、最近、男言葉をやめるようによく言われるからだ。シルバーが笑うようなことじゃない。
こんなふうに、世間はこういうのを、ただのありがちなやきもち、と呼んで扱うだろう。
そんなんじゃないぞ、とメイは思う。
いわゆる嫉妬、などではない。
取られてさみしい、とかそういうんじゃない。
(ただ……)
なんとなくぽっかり空虚な気持ちなのは、それがあまりにも突然だったから。
気分が晴れないのは、ただ、驚いたからだ。
今まであまりにもその場所に慣れすぎていたことに……気づかなかったという事実に。
「俺……分かったんだ。ブルーの隣は、ずっと俺ってわけじゃないんだ」
『ふたりは、つきあってるんですかっ』
宿屋の少女は言った。否定すると安心したようにありがとうございますと笑った。歳はリュオンと同じか下くらいか。無邪気な笑顔だったが、思い出すたびに胸を刺した。
つまり、この年になると、「つきあってる」のでなければ、そばにはいられない。
メイは女の子らしくない、かわいらしくないから、「つきあう」はできない。
それどころか、メイは本当に男の子なわけじゃないから、友達としてそばにいることすらもいずれできなくなる。
だって、「ふたまた」になってしまうから。
彼女というのが重視されるようになったら。
きれいでもない、かといって男の子でもないメイは、彼女になれず、友達にもなれず、ただふたまた疑惑をかけられるだけの存在になり、邪魔に思われて捨てられるかもしれない。
ううん。それはもはや未来のことじゃなく……眼前に迫って来ているのかもしれない。
ブルーはもう、メイのことを邪魔に思い始めているかもしれない。
「メイちゃんは気づいてないかもしれないから心配だろうけどさ」
ぎゅっと唇を引き結んで痛む胸を押さえていると、それまで黙り込んでいたシルバーがゆっくりと口を開いた。
「ブルー君はメイちゃんのこと、すごく大切に思ってるよ」
「……な、なんで?」
メイは少し頬を赤らめる。慰めようとして嘘言ってるんだと思いつつ、ちょっと嬉しかった。
「だって、いつもそばにいるんだろう。最近は違うにしても」
「ん……」
「それなら、大丈夫だよ」
ふっと確信を込めてシルバーは言う。なんでそんなに自信を持って言えるんだよ、もしかしたらいやいや近くにいただけかもしれないじゃないかと言おうとして、言えなかった。嘘にしたくなかった。
メイはどうしていいか分からなくなって視線をうろうろと泳がせる。
「僕なんか話しかけようとするだけでなぜかにらまれるぞ」
「え、そんなことないぞ」
ブルーが何の理由があってシルバーをにらむというのだ。メイは困ったように眉を寄せる。
「にらんでるみたいに見えるかもしれないけど……勘違いされやすいけど、べつに嫌ってるとかじゃないぞっ。不器用なだけだよ」
シルバーに勘違いでブルーを嫌ってほしくないと思い、必死で言ったのだが、シルバーはなぜか苦笑した。
「……ぶきよう、ねえ」
「ほ、ほんとだぞ」
ため息をつかれメイは困惑する。何かおかしいことを言っただろうか。
「ジルにやめるように交渉してみようか。……まあ、僕の話はきかないだろうけど」
「え、だって、ジルさんはブルーのこと」
「だから、違うって。ほんと、ないって」
でも、とメイは言う。シルバーはそういうけど、そうとは限らないじゃないか。今は違っても、これから好きになるかもしれないし。うつむいていると、シルバーが下から覗き込んで意地の悪い笑みを浮かべた。
「じゃあさ、メイちゃんがブルー君を大切に思う気持ちは、ジルやあの子のよりも弱いんだ? だから、とられてもいいんだ?」
「……ち、ちがう」
怒ったようにメイは言った。
「俺のほうがあの子より、ブルーのこと大切に思ってるもん……お、俺のは、友達の好きだから、れんあいの好きにかなわないみたいに思われるかも知んないけど、それでも俺のほうが好きだもん」
最後は消え入りそうになりながらそれでもメイは言い終えた。恥ずかしさをごまかすために思わず氷をからからからから回したのだが、くすくす笑われて余計頬を染めた。
*
「いない……」
人ごみの中を走り回ったものの、目的の少女は見つからない。ブルーは嘆息し、乱れて顔にかかってきた髪を煩わしげにはねのける。
「ほら見ろ、邪魔だから髪を切れ、と言っているんだ!」
遅れてなんとか追い付いてきたジルが息を切らしぴしりと指差して言う。
「そして服をどうにかしろ! ダラダラダラダラみっともない」
背伸びをするとジルのほうが背が高い。上から見下ろされ、ブルーは眉間に皺を寄せる。
「顔をしかめるなっ」
言われてもますますブルーの皺は深くなっていくばかり。
一つ息をつきジルは一冊の分厚い本を取り出しブルーに突き付ける。
「まあいい、今日は遅いから髪と服は明日だ。とりあえずこれを読め」
ワインレッドの表紙に金色の刺繍で「正しい紳士の在り方」と書いてある。ブルーは目をそらした。視線に本がくっついてくる。
「……読めない」
ブルーは苦々しげに言う。ジルはしばし怪訝そうにし、それからああ、と手を叩く。
「もしかして字が読めないのか? よし、私が教えてやろう!」
「嫌だ」
「こら、逃げるな!」
止めるジルの声も聞かず、ブルーはするりとそこを去る。ジルは追いかけようとするが、あっという間にまかれ、見失ってしまう。
「く、足の速い……」
もとよりジルは走るということをあまりしない。むしろおもいっきり嫌っている。それに先程までにずいぶんと走らされた。
今日はもうこれくらいにしてやるか、と座って休憩をすることにする。
「手ごわいやつだ……いや、私はくじけない」
ひどく疲れたけれど、これもリュオンのためと思えば自然とやる気が湧いて出た。
「……しかし、リュオンはあいつのどこがいいんだ……?
顔はいいかもしれないが性格最悪だぞ? 『ほっとけないのよね~』タイプっつってもさすがにあれはひどいんじゃないか……。天然で常識はずれなところを抜きにしても、別に性格がいいわけでもない気がするし」
疑問を胸に抱きながら、ジルはしばらくの間そのまま明日以降の計画を練り始めた。
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