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オリジナル創作小説に関するあれこれを書き連ねる
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「ええーと失礼ですが何をやっているのでしょうか」
 シルバーが戸惑った顔でジルに話しかける。
 ジルは膝を立てて茂みの影に座り込み、忌々しげな視線を彼方に送っていた。
 その鋭さときたらまるで狩猟者さながら、今にも標的を射殺さんばかり。
 だが、彼女が見ているのは獣ではない。
「おのれ……全身マントの分際でイチャイチャイチャイチャと……」
 小動物めいてあどけない少女が、青いマントを身にまとった銀色の髪の少年に無邪気に話しかけていた。リュオンとブルーだ。一緒に旅をして仲良くなったのだという。
 シルバーにとっては、仲良くなったというより、リュオンが一人で勝手にしゃべっているという印象だったのだが、それでも過保護なジルにとっては許せないものらしい。二人が一緒にいるのをはじめて目撃してから、リュオンがブルーにとられてしまうのではないかと、ここ数日ずっとブルーを尾行しているのだ。
(ブルー君もてそうだしな……見た目は)
 なまじ容姿が「まあまあ」であるぶん、余計不安なのだろう、とシルバーは思う。
 まさかリュオンを見た目でたぶらかすなんて、とジルは嘆いていた。
 あれで中身もよいなら認める、とジルは言う。しかし、ブルーには致命的なほどに常識がない。
 
 おそらく、ブルーも、リュオンに近づかないようにと、ジルによって折檻されるのだろう。シルバーと同じように。
 かわいそうだなあと思いつつ、少しシルバーは安心していた。
 が。
 ジルは軽く舌打ちすると、誓うように言ったのだった。 
「リュオンが選んだ男なら仕方がない……。
 せめて私が奴をリュオンに値するにふさわしい男にしてやろう!」
 
 
『青汁と紅茶の話』
  
 
「おいお前! 私に紅茶を入れろ!」
 びしっと人差し指をつきつけてジルはブルーに命令する。
 あまりにも唐突な要求に、振り返ったブルーがあからさまに嫌そうな顔をした。
「……断る」
「なっ……失格だ!」
 ジルは雷に打たれたような表情を浮かべ、よろよろとふらついて目頭を押さえる。
「くっ……紅茶を入れる能力の高さで現時点どれだけの教養がある男かはかってやろうと思ったのに、まさか最初から紅茶をいれないとは……!」
「いや、突然言われたらそうだろ」
「言語道断!」
 ジルはカッと目をむき、呆れるシルバーにまくし立てる。
「レディーに対しては最初から言われなくとも紅茶を出すものだぞ?!」
 僕には死んでもお前がレディーだとは思えない。
 喉まで出かけた言葉をなんとか飲み込み、鼻で笑うところだったのを必死でこらえ、やっとのことでシルバーは平静を装ってああそうと言った。だがこらえきれず口の端をひくひくさせていたのを見咎められ氷の目でにらまれる。
 そんなことをしている間に、ブルーがどこかへと立ち去ってしまったことに気づいたジルが眉間に皺を寄せる。
「あんなやつにつかまるなんて……かわいそうにリュオン」
「僕のほうがマシだよな」
「……」
「冗談だから哀れみの目で見るな……」
 本音を無言で否定され、シルバーはため息をついた。
 ――ジルの過保護にも困ったものだ。
 リュオンだって、別にブルーをそういう意味で好きなわけじゃないだろうに。
(だって、あれは、ちょっとなあ)
 シルバーだったらブルーは嫌だ。正直メイが理解できない。たしかに顔はいいのかもしれない。だが、性格が尋常じゃないではないか。いわゆる「ほっとけないのよね~」タイプというのかもしれないが、さすがにあれはひどいんじゃないかとシルバーは思う。天然で常識はずれなところを抜きにしても、別に性格がいいわけでもない気がするし。
 ……そう思っているのはシルバーだけかもしれないけれど。
「これは本気でかかるしかないな」
 シルバーが脳内ブルーけなしに熱くなっていると、突如ジルが張り詰めた声で静かに言った。
「え?」
「矯正だ!」
 拳をにぎりしめ、鋭い表情で言い放つ。
「まともな男にしてやるぞ……!」
「……ブルー君、がんばれ」
 意を決したように勢いよく駆け出したジルの背中を見届けながら、まともなブルーを想像して、シルバーは少し笑った。
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