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オリジナル創作小説に関するあれこれを書き連ねる
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覆面作家企画5に参加しようとしたものの時間切れ&テーマ使ってないやん!!ということに気づいて提出を諦めた短編を寂しいので途中まで供養します。
あとで改稿するんだからっ…
仮題「梔子に捧ぐ」ですが梔子あんまり関係ない。
テーマは「みこたんまさかの和風」
※全体で三時間くおりてぃー。
※推敲してない
※和風処女作なんであんまつっこまないでください。
いやむしろ突っ込んでもらったほうがいい気がする。

 咲き初めの梔子が霧雨に打たれ、薄闇に溶けゆく。
 娘は、縁際に腰掛け、背筋を伸ばし。伏せた睫毛の奥の双方を、中庭に向けていた。
 たおやかな白い右手に、短刀。
 娘は暫し考える様に目蓋を閉じていたが、やがて、ほそい指先で、螺鈿の鞘から刃をゆっくりと抜き取る。自らの喉元に、鈍く光る切っ先を突き立てる。
 瞬間。
 梔子の木が音を立てて揺らいだ。
 舞い降りた影は、長身。切れ長の目元が、娘を眇める。数歩進み、短刀を取り落とす娘の前に、膝を付く。一呼吸置いて、影は、こう云った。
「私を匿ってはくれまいか」
 涼やかな声だった。


 
 日々は驚くほど穏やかに過ぎた。
 侵入者はその名を薄(はく)とかたった。身の丈は、五尺六寸ばかり。若駒のごとき無駄の無く引き締まった体躯である。髪も眸も漆黒、まるで濡れたように艶めいていた。畳に投げ出した脚は引き締まって長かった。すっきりと整った顔の、美青年である。

 屋敷は部屋ばかり無駄にあるので、薄の居場所については困らなかった。 父は娘――茜を自分の財産向上の要としてしか見ておらず、継母は茜にほとんど興味が無い。そのため薄の存在を隠すことは、容易であった。
 薄は逢魔ヶ時になるとふらり何処かへ行ってしまう。そうして明け方に亡霊のように気配無くすらりと茜の部屋に踏み込んで来る。何処かで女遊びでもしているのかもしれないと、時々茜は不快になる。茜はこのごろとくに、そんな男を目にしたくは無い。
 しいていえば食事だが、これも大した問題はなかった。茜は自分の膳を薄に分け与えた。もともと食は細く、食欲も無い。薄はされど、金は持っているようで、屋外でぶらり定食を出す店を見つけては、餅を引っさげ、茜より余程満腹になって帰ってくるのであった。時折餅を買ってきては、着流しから腕を伸ばし餅を摘み挙げて白い歯で齧ってみせた。そうして晴れた様に哄笑った。

 匿って欲しい理由を薄はかたらなかった。
 冗談だけ言った。
 曰く。私を欲しがる男がいると。身の毛がよだつ。だから逃げてきた。
 その話は知っている。あの、不細工で、酒好きで、遊び好きで、女好きで、だらしがない、そのくせ金と権力だけは持っている、この辺りをまとめている禿だぬきのことを言っているのだ。土地を買い、財を成し、富を得た。狡猾で血の無い。娘達を片っ端から、選り取りみどり、その地位と財産で買い集めているという。貧しい、特に家の者の身体の弱いものは、その求めに従わねばならぬ。
 茜も。
 もちろん呼ばれた。
 背筋にまた冷たいものが走って、思考からあぶらの乗った禿男の像を無理矢理に追い出す。
 
 *
 
 ここまでです(^ω^)続きは改稿後に載せられたらいいな…(願望)
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